福山雅治さんマンション住居侵入罪裁判・坂尾陽弁護士が解説

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

福山雅治さんマンション住居侵入罪裁判・坂尾陽弁護士が解説

福山雅治さんマンション住居侵入罪事件についてテレビ取材を受けました。福山雅治さんマンション住居侵入罪事件は、注目度が高く詳しいことを知りたい方も多いと思います。

そこで、不動産問題に詳しい銀座・アイシア法律事務所の弁護士坂尾陽が、福山雅治さんマンション侵入罪事件を解説します。

1. 福山雅治さんマンション住居侵入罪事件とは

a0002_010932_m

1.-(1) 事件の概要

福山雅治さんのマンションに、福山雅治さんのファンであるマンションコンシェルジュが侵入した事件です。福山雅治さんマンション侵入罪事件の裁判は、平成28年9月8日に第一回公判が行われました。
福山雅治さんは、ご存じのとおり歌手で俳優です。被告人は、マンションコンシェルジュの女性(48歳)で、2016年5月、福山雅治さんとその妻吹石一恵さんが住むマンションの部屋に、マンションコンシェルジュとして預かっていた合鍵を使って侵入しました。罪名は住居侵入罪(刑法130条)となります。

1.-(2) 福山雅治さんマンション住居侵入罪事件裁判の経過

福山雅治さんマンション侵入罪事件は、正式には東京地方裁判所平成28年刑(わ)第1208号住居侵入被告事件といいます。東京地方裁判所刑事第17部が担当し、710号法廷で裁判がされました。
報道によれば、福山雅治さんマンション侵入罪事件の被告人は、マンションコンシェルジュ業務において、福山雅治さんが出入りするのを見かけて、福山雅治さんのギターが見たくなって侵入しました。
犯行動機について被告人の供述によれば、

(被告人)
「(福山雅治さんの影響で)ギターを弾いており、譜面やギター、小道具を見たかった。衝動的にギターを見たい気持ちが高まってしまった。自分の精神的なものが壊れてしまった。」

また、被告人は犯行動機は衝動的と主張しました。しかし、福山雅治さんマンション侵入罪事件において被告人は、事前にサングラス等で変装した上で犯行後に髪を切っています。この点は、裁判官も指摘しています。

(裁判官)

「自分の言葉でなぜ衝動的にやってしまったのか説明できないと、また次にやってしまうのではないか、大丈夫?と思ってしまう」

a0002_001011_m

1.-(3) 裁判の流れについて

福山雅治さんマンション住居侵入罪事件については、平成28年9月8日に1回目の裁判が行われ、これで裁判が終わりとなりました。住居侵入罪事件で被告人が罪を認めていると裁判期日は1時間程度で終わります。
裁判では検察官が求刑を行います。福山雅治さんマンション住居侵入罪事件では懲役1年の求刑がなされました。しかし、求刑は検察官の主張にすぎません。
今後の裁判の流れですが、平成28年9月28日に福山雅治さんマンション住居侵入罪事件の判決があります。平成28年9月8日の求刑は検察官の主張であり、最終的には平成28年9月28日の判決期日において、福山雅治さんマンション住居侵入罪事件の被告人の刑罰が決まることになります。

2. 福山雅治さん住居侵入罪事件のポイント

2.-(1) 事件の特殊性

福山雅治さんマンション住居侵入罪事件は珍しい裁判です。類似裁判例のないレアケースだと言えます。
住居侵入罪は他の犯罪行為(窃盗や強盗等)の手段として行われるのが一般的です。このような場合、住居侵入罪単独で刑罰が決まるのではなく、メインは窃盗や強盗等の悪質性によって刑罰が決まります。裁判用語では牽連犯といいます。
住居侵入罪のみで裁判になるのは、女性のお風呂を覗く又は無断でビラを配布するケースが多いです。ビラ配布の住居侵入罪事件は、戦争反対の運動をしている方が自衛隊の官舎にビラを配布したようなケースです(立川反戦ビラ配布事件)。
しかし、福山雅治さんマンション住居侵入罪事件はそのような事件ではありません。福山雅治さんマンション住居侵入罪事件は、①犯行動機が福山雅治さんへの好意からであり、②第三者ではなくマンション管理者が不法侵入した、③ギターを見るだけであり窃盗等は行っていないという点が特殊です。
ざっとみた限りでは類似裁判例は見当たりませんでした(警察が捜査はしたものの裁判になってないケースはあるかもしれません。)。

2.-(2) なぜ裁判になったか

福山雅治さんマンション住居侵入罪事件が裁判になった理由ですが、福山雅治さん・吹石一恵さんの処罰感情が強かったからだと思います。以前、芸能人であるため大事にしない選択をされるかもしれないとコメントしましたが、福山雅治さんマンション住居侵入罪事件は社会的注目が強かったこともあり、福山雅治さん・吹石一恵夫妻は厳しい処罰を求められたようです。
福山雅治さんのコメントは以下のとおりです。

(福山雅治さん)
「妻が感じた恐怖は計り知れない。厳しい処罰を望んでいる」

3.  福山雅治さん住居侵入罪事件の量刑は?

3.-(1) 検察官の求刑

福山雅治さん住居侵入罪事件で検察官は懲役1年を求刑しました。検察官は、判決よりもやや重い求刑をするので懲役1年の求刑は妥当だと思います。
実は、のぞき目的で住居侵入罪事件において検察官が軽い罰金の求刑をしたため、裁判官から指摘を受けた事案があります。

(五條簡裁平成23年10月7日判決)
「本件は、…罰金刑をもって処断する…軽微な事案ではなく、懲役刑をもって処断するのが当然の事案」「検察官は、…(罰金の)求刑を変更せずにそのまま維持したが…裁判所としては、甚だ遺憾に思う」

検察官としては、福山雅治さん・吹石一恵さん夫妻の処罰感情が強いこと、社会的影響の大きい事件であることを踏まえて求刑を行ったと思われます。

3.-(2) 福山雅治さんマンション住居侵入罪事件の判決

福山雅治さんマンション住居侵入罪事件裁判の判決は平成28年9月28日午前10時からなされます。
住居侵入罪は懲役3年以下又は罰金10万円以下の判決ができます。福山雅治さんマンション住居侵入罪事件の判決は、懲役6月~10月、執行猶予2年~3年程度というところでしょうか。懲役1年執行猶予付であればやや重く、罰金刑ということも考えられないではありません。

3.-(3) 計画的な犯行と量刑

a0006_000092_m

福山雅治さんマンション住居侵入罪事件の裁判においては、衝動的な犯行を主張する被告人側に対し、検察官は計画的な犯行であったことを指摘したようです。しかし、計画的な犯行であるとしても量刑に大きく影響しないと思います。
但し、計画的な犯行であったことを超えて、繰り返し福山雅治さんのマンションに侵入していた場合のように「常習性」が認められる場合は量刑に影響します。常習性が認められると再犯のおそれがあるからです。
福山雅治さんマンション住居侵入罪事件において裁判官も再犯のおそれを指摘しています。

(裁判官)
「また次にやってしまうのではないか、大丈夫?と思ってしまう」

また、先ほど検察官の量刑が軽すぎると指摘事案では、常習性と再犯のおそれを理由として懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡しました。

(五條簡裁平成23年10月7日判決)
「のぞき見目的による住居侵入の常習性が顕著で,同種再犯の虞が大きく,その刑事責任は相当重い」

4. マンション管理者の立入りについて

4.-(1) 立入りの根拠

福山雅治さんマンション住居侵入罪事件の特殊性は、マンションを管理するコンシェルジュが無断で侵入したことです。そもそも、大家さんやマンション管理者が鍵を預かるのは立入りを前提としています。なぜ大家さんやマンション管理者が住居に立ち入ることができるのでしょうか。
住居侵入罪は、刑法130条において、「正当な理由がないのに」侵入した時に成立します。大家さん・マンション管理者の立入りは正当な理由がある場合には住居侵入罪が成立しません。「正当な理由」について明確な基準はありませんが、住人の承諾がある場合又は緊急の必要性がある場合と解されます。

4.-(2) 緊急の必要性とは

大家さん・マンション管理者が承諾を得ずに立入る緊急の必要性とはどのようなものでしょうか。国土交通省が公開している賃貸住宅標準契約書によれば、以下の場合に立ち入ることができるとされています。

(賃貸住宅標準契約書)
「火災による延焼を防止する必要がある場合そのたの緊急の必要性がある場合」

単に居住者個人の問題ではなく火災等でマンション全体に被害が及ぶ場合や、マンション居住者の生命・身体が害されるおそれがあり事態を確認するために必要がある場合に緊急の必要性があると判断されることになります。

まとめ

福山雅治さんマンション住居侵入罪事件について坂尾陽弁護士が不動産問題に詳しい弁護士として解説しました。長くなりましたのでポイントをまとめておきます。
・本件は①犯行動機が福山雅治さんへの好意であり、②マンションを管理するコンシェルジュが住居侵入をした、③窃盗等の手段として行われていないという点で特殊。
・福山雅治さんマンション住居侵入罪事件において、検察官の求刑は懲役1年でしたが、判決ではもう少し軽くなる。
・単に計画性があっただけではなく、常習性があった場合には再犯のおそれがあるとして量刑に影響する。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
無料相談はアイシア法律事務所