【保存版】内縁関係について知っておくべき全法律知識 19項目

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【保存版】内縁関係について知っておくべき全法律知識 19項目

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1. 内縁とは

内縁とは、婚姻届を提出していないため正式な夫婦ではないものの、当事者の意識や生活実態において事実上の夫婦同然の生活をする男女関係のことをいいます。

1.-(1)      内縁関係の定義

内縁に関して法律上の定義はありませんが、学説・判例上は内縁関係を準ずる関係と捉えています(準婚理論)。最高裁昭和33年4月11日判決は、内縁関係が不当に破棄された事案について単なる婚約不履行ではなく、「婚姻に準ずる関係というを妨げない。」と判示して内縁関係の不当破棄に基づく不法行為責任を認めています。

1.-(2)      内縁が法律婚と異なる点

内縁関係は正式に婚姻届を提出して夫婦となった法律婚に準じて考えられるべきですが、婚姻届の提出を前提とする以下の効力は認められないことになります。

①氏の変更はできません。

②成年擬制(民法753条)は適用されません

③内縁当事者間の契約は一方的に取り消すことはできません

④内縁配偶者との親族との間では姻族関係は生じません。

⑤子どもの親権は、母親の単独親権となります。父母共同親権とはなりません。

⑥子どもは非嫡出子となります。

⑦内縁の相手方に対する相続権を有しません。ただし、相続人不存在の場合には、特別縁故者として相続財産の分与を請求できます(後述)。

1.-(3)      内縁関係の成立要件

内縁関係が成立するためには、社会生活上、事実上の婚姻関係としての実質が必要です。具体的には、内縁関係の成立が認められるためには、①婚姻意思があること、②これに基づく共同生活があることが必要です。

したがって、婚姻を想定しない恋愛関係・性的関係や、婚姻意思はあるものの共同生活を欠く婚約関係、共同生活はあるがもともと婚姻意思を持たない関係(愛人関係)は、原則として内縁にあたりません。

婚姻意思の存在については、結婚の儀式の有無や親族・知人ら周囲の関係者の認識、共同生活の内容、継続状態など一定の客観的事情をもって判断されることとなります。

1.-(4)      内縁が成立する年数は何年?

法律相談で内縁関係が成立するためには何年同居する必要があるか聞かれることがあります。しかし、何年間同居すれば直ちに内縁関係が成立するといった基準はありません。

同居期間が長くなればなるほど、内縁関係の成立要件である婚姻意思に基づく共同生活が認められやすくなります。しかし、期間だけではなく実質的に夫婦同然の共同生活を営んでいるかが判断されます。

例えば、夫婦同然共同生活の内容として、原則的には、(i)婚姻効果の中でも重要なものである夫婦間の同居義務・協力義務・扶助義務(民法752条)、(ii)相手方に対する貞操義務(民法770条1項1号)が実践されている状態にあること、そしてこれらの共同生活が存続していることが必要です。つまり、婚姻届こそ出していないけれども、当事者の心の中でも第三者の眼で見ても、実質的に夫婦としての生活を営んでいる状態が必要だということです。よって、何年間共同生活を継続すれば内縁関係が成立するというような、単純な基準はありません。もちろん、長いほうが実質的に夫婦として生活しているように見えますから、内縁関係が成立していると認めやすくなります。しかし、共同生活の期間だけが明確な基準ではありません。

内縁関係が成立するか否かは、以下に列挙するような事情を総合的に考慮して判断されます。

①親兄弟などの家族・親族から夫婦として扱われている

②仕事先など社会的に夫婦として見られている

③認知した子がいる

④同居している

⑤住民票が同一世帯

⑥家計(サイフ)が一緒

1.-(5)      内縁当当事者が婚姻している場合(重婚的内縁関係)

重婚的内縁関係は、法律婚をしながら内縁の夫婦関係があることを言います。例えば、奥様と不仲になって別居している男性が、長期間別居して奥様との間に夫婦としての実体がなくなったため、新たに内縁の女性と生活するような場合です。

重婚的関係は、法律上重婚が禁止されていることから公序良俗に反する関係として保護されないという考え方もかつてはありました。しかし、最近では重婚的内縁関係も法律上保護される場合があります。

例えば、最高裁平成17年4月21日判決は、遺族共催年金の支給を受ける配偶者が誰かが問題になった事案について、法律上の妻との婚姻関係が形骸している一方で、内縁の妻との関係は事実上婚姻関係と同視できるとして、内縁の妻が遺族共済年金の支給を受けるべき「配偶者」に該当すると判断しています。

2. 内縁関係の証明方法

内縁関係は以下に掲げる事実関係を総合して判断されます。

2.-(1)      共同生活を行った同居期間

内縁関係が認められるためには家計を一緒にしており共同生活を行っていることが必要です。また、同居期間は考慮要素の1つではありますが、明確な基準があるわけではありません。

例えば、挙式をした事案では同居期間1か月未満でも事故死した内縁の夫についての賠償請求が認められたものもあります(千葉地裁佐倉支部昭和49年7月15日判決)。また、妻と別れるといって妊娠させたものの出産後に一方的に別れた事案について、同居期間は約3か月程度でしたが内縁関係を認めて330万円の損害賠償請求が認めらています(京都地裁平成4年10月27日判決)

2.-(2)      住民票

住民票において同一住所であれば、同一世帯に住んでいることの証拠になります。また、「夫(未届)」「妻(未届)」と続柄が表記されている場合には内縁関係成立の強い証拠になります。住民票によって内縁関係を証明する場合のメリットは、日付が記入されるため、いつから内縁関係であったか証明できることです。

2.-(3)      契約書の名義

同棲していたマンション等の賃貸借契約書に、共同生活者として「内縁の妻」「配偶者」等と記載した場合には内縁関係の証拠となります。また、最近では、携帯電話会社の家族割引契約時の契約書が証拠になることもあります。

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2.-(4)      内縁証明書

事案によっては「事実婚に関する契約書」を作成することも考えられます。契約書があれば内縁関係の強い証拠となります。さらに、内縁関係では相続に関する保護が弱いことから(後述)、「遺言書」も作成することが考えられます。事実婚に関する契約書や遺言書は、「公正証書」にしておくと安心です。

3. 内縁破棄の慰謝料請求について

内縁関係が成立している場合に、一方が突然内縁破棄をした場合の法律関係はどのようになるでしょうか。内縁破棄については慰謝料請求、財産分与請求が問題となります。

3.-(1)      内縁関係の解消

内縁関係は、婚姻届は提出していないものの、婚姻意思をもって実質上夫婦生活を営んでいる場合をいうため、法律上の夫婦関係と異なり内縁関係について戸籍上何らの記載も存在しません。従って、離婚届提出等の何らかの手続きをすることなく、共同生活をしなくなれば内縁関係は当然に消滅することになります。すなわち、法律上の夫婦関係と異なり、離婚協議・離婚調停等をすることなく、内縁関係の解消自体は自由にすることができます。

しかし、内縁関係は法律上の婚姻と同様の法的保護が与えられており、正当な理由がないのに内縁関係を破棄された場合は、相手方に対して慰謝料の請求をすることができます。

3-(2)       内縁破棄の慰謝料請求

正当な理由がなく内縁関係を破棄されたは慰謝料を請求することができます。他方で、内縁関係の破棄について正当な理由があった場合は慰謝料の請求はできません。

そして、内縁関係の破棄について正当な理由があったことは、内縁関係を破棄した側が証明しなければならないと解されています。よって、従って、内縁関係の破棄に基づく慰謝料請求については、内縁を破棄された側は、内縁関係の存在を主張・立証すれば慰謝料請求を行うハードルをクリアできます。

3-(3)       内縁破棄の正当な理由とは

内縁関係の破棄に基づいて慰謝料請求をされた場合、内縁関係の破棄について正当な理由があったか否かが問題となります。例えば、法律上の離婚原因に準ずる行為及び事実がある場合には、内縁関係を解消する正当な理由が存在することになります。すなわち、離婚原因を定めた民法770条1項各号に準じる以下の事由が存在する場合には内縁破棄の正当な理由が存在することになります。

  • 不貞行為があったとき(いわゆる浮気がこれに当たります。)
  • 意で遺棄されたとき
  • 生死が3年以上明らかでないとき
  • 強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • その他内縁を継続しがたい重大な事由があるとき(例:家庭内暴力など)

には、内縁関係の解消について正当な理由があることになり、法律上の離婚と同様に、損害賠償義務は負わないことになります。

4. 内縁関係解消に伴う財産分与

内縁関係は、婚姻届は提出していないものの、法律上の婚姻関係に準じた保護が与えられているため、内縁関係の解消時には、内縁期間中の共有財産について財産分与が認められます。当事者の協議では財産分与の金額が決まらない場合は、家庭裁判所の調停又は審判手続きを利用することもできます(後述)。

但し、内縁関係では相続権は認められていません。そのため、内縁配偶者が死亡したときには財産分与の名目で相続財産の分与請求をしても認められません。死亡による内縁関係解消の場合は財産分与ができないことについては注意が必要です。

5. 内縁破棄に基づく慰謝料請求/財産分与請求手続きの流れ

内縁破棄に基づいて慰謝料請求や財産分与請求をする場合は以下の流れに従って手続きを行うことになります。

5.-(1)      内容証明郵便を送る

慰謝料請求・財産分与請求は一般的に内容証明郵便を送付して行います。内容証明郵便とは、「誰が、いつ、どんな内容を誰宛に手紙を出したのか」ということを郵便局が公的に証明してくれる郵便のことです。内容証明郵便を送付すれば、手紙を受け取った相手方が「そんな手紙はもらっていない」等と言い逃れすることができません。

内容証明郵便には、内縁破棄に基づく慰謝料請求・財産分与請求を行うこと、連絡がない場合は法的手段を採る場合があること等を記載します。内容証明郵便は、本やインターネットにもたくさん情報があるので、ご自身で作成することもできると思われるかもしれません。しかし、あなたの事案でどのような事実を強調するべきか、記載内容が法的に間違っていないか等は分からないと思います。また、ご本人名義よりも弁護士名義で請求した方が、相手方に与えるプレッシャーは強まります。残念ながら本人名義の内容証明郵便は相手方に無視されることも少なくありません。また、内容証明郵便が届いた後に相手から連絡が来た場合の交渉対応も考えると、内容証明郵便の作成から弁護士に依頼してもよいかと思います。

内容証明郵便に対して相手方がすんなり慰謝料・財産分与を支払ってくれれば問題ありません。しかし、相手方が色々と反論をすることもあります。

5.-(2)      交渉を行う

相手方が内容証明郵便を受け取っても、事実と異なる、請求された慰謝料・財産分与の金額が高額すぎて払えない等と言ってくる場合があります。このような場合は相手方と交渉して、内縁破棄に基づく慰謝料・財産分与を支払って貰うことになります。

弁護士に依頼すれば交渉は弁護士が行うので、とくに大きな負担はありません。弁護士との間で主張したい点を打ち合わせて、弁護士が相手方の事実関係と異なる点を指摘したり、法令・裁判例を調査して、相手方の反論を潰して慰謝料・財産分与を支払わせるよう相手方を追い詰めます。

5.-(3)      調停を行う

調停は裁判所で行う話し合いであり非公開で行われます。調停が成立すれば調停調書が作成されますが、調停長所は確定判決と同じ効力を持つので、相手方が調停で決まったことを守らなければ強制執行ができます。

ただし、調停は話し合いにより成立するものであり、相手形が調停に来なかったり、来ても合意せずに不成立に終われば、強制的に慰謝料・財産分与を支払わせることはできません。

5.-(4)      審判・訴訟を行う

内容証明郵便を送っても連絡がない場合、相手方が調停に出てこない場合等は裁判所の審判・訴訟手続きを行うことになります。慰謝料請求を行う場合は訴訟手続き、財産分与請求を行う場合は審判手続きを利用しますが、この段階になると一般的に弁護士に依頼するので弁護士に手続を任せることになります。

相手方が事実関係を争ったり、話し合いによる解決が見込まれない場合でも、最終的に裁判所がどちらの言い分が正しいかを判断してくれます。審判・訴訟手続きを行えば相手方が拒否する場合でも慰謝料・財産分与が認められます。

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6 慰謝料請求権の時効に注意

内縁破棄に基づく慰謝料請求は、精神的苦痛という損害に対する損害賠償請求です。従って、損害及び加害者を知ったときから3年間」以内に行使しなければ消滅時効が成立します(民法724条)。

例えば、相手の不貞行為を理由に内縁を破棄した場合を検討します。消滅時効の3年の起算点は、不貞行為が終了したときからではなく、不貞行為があったことを知ったときであり、不貞行為の相手の名前等を知ったときになります。ただし、裁判例の中には「姓名までは知らなくとも、社会通念上、調査すれば容易に加害者の住所姓名などが判明し得るような場合には、その限度で加害者を知ったことになる」(大阪地判S45年12月17日)と判断しているものもありますから、請求する場合は気を付けてください。

7. 内縁関係と相続

法律上の婚姻については配偶者に相続権が認められています。しかし、内縁関係の場合、慰謝料・財産分与と異なり、相続に関しては相続権が認められていません。内縁関係は何ら戸籍上に現れないため、画一的に判断されるべき相続関係に混乱を来すのは妥当でないとされています。

また、内縁の妻や夫が死亡した場合に財産分与が認められないかが問題となります。たしかに内縁関係が解消された場合は財産分与が認められるのですが、死亡による内縁関係解消の場合は財産分与の請求も認められません。

このように内縁関係は相続との関係ではほとんど保護されません。相続のことを考えるのであれば、遺言書を作成して貰う必要があるでしょう。

なお、死亡した内縁の妻や夫に法定相続人がいい場合は、特別縁故者として一定の要件の下で相続財産の分与を受けられる場合があります(民法958条の3第1項)。このような場合には相続財産管理人を選任し、特別縁故者の財産分与申立ての手続きを行う必要があるので弁護士にご相談ください。

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8. まとめ

今回は内縁関係について詳しくまとめました。内縁関係はどのような場合に成立するか、内縁関係は慰謝料・財産分与は認められるものの、相続との関係では保護が弱いこと等が分かっていただければと存じます。

あなたの事案について、内縁関係に基づいてどのような請求を行うことができるかは弁護士にご相談いただければと存じます。

なお、アイシア法律事務所では、内縁破棄に基づく慰謝料・財産分与請求をする場合や、内縁配偶者が死亡したものの法定相続人がいない場合に特別縁故者として相続財産を取得した場合の法律相談を無料で実施しております。気になることがあれば是非お問合せください。

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