相続の期限 手続きごとに知るべき9つの相続期限

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

相続の期限 手続きごとに知るべき9つの相続期限

a0960_002360_m

相続の期限をご存知ですか? この質問は実はひっかけです。相続が開始すると様々な手続きをしなければなりません。相続手続きごとに期限は異なります。従って、相続の期限をご存知ですか?と聞かれた場合は、どの相続手続きの期限ですかと聞き返す必要があります。

あなたは、相続の期限を知りたい、相続手続きをどう進めて良いか悩んでおられると思います。この記事を読めば相続手続きとの関係で相続の期限を全て知ることができます。あなたが、どの相続手続きをするべきか、各相続手続きの期限はいつまでかについて9つの相続手続きをまとめました。

法務・税務の両面から相続・事業承継問題を多く取り扱う銀座・アイシア法律事務所の弁護士が実務的観点を踏まえて相続期限を解説します。

1. 相続期限①:相続の開始=死亡届の提出(7日以内)

相続が開始すると死亡届を提出する必要があります。死亡届は、原則として死亡を知った日から7日以内に死亡地、本籍地、住所地のいずれかの市区町村の戸籍・住民登録窓口に提出しなければなりません。死亡届を提出する時は、医師による死亡診断書(警察による死体検案書)、届出人の印鑑が必要となります。なお、死亡届の提出は役所でも24時間受け付けています。

また、死亡届の提出と同時に死体火葬許可申請書を提出して死体火葬許可証を受領します。死体火葬許可証は被相続人を火葬するために必要なので忘れずに申請して下さい。

2. 相続期限②:戸籍・年金関係の手続き(14日以内)

2.-(1)  年金受給停止の手続き

相続が開始した後も年金が振り込まれることがあります。そのため、相続開始後速やかに年金受給停止の手続きを行う必要があります。なお、国民年金については期限が定められており、相続開始後14日以内が手続きの期限です。

2.-(2)  介護保険資格喪失届

介護保険を受けている場合、相続開始後14日以内に介護保険資格喪失届を市区町村の福祉課等に提出します。提出時に介護保険証などが必要となります。

2.-(3)  住民票の抹消届

相続開始後14日以内に住民票の抹消手続きをしなければならないとされています。しかし、死亡届を提出すると住民票も抹消されるので、原則として改めて住民票の抹消届を提出する必要はありません。

2.-(4)  世帯主の変更届

(4) 世帯主の変更届は、故人が3人以上の世帯の世帯主であった場合に必要となります。世帯主の変更届は、市区町村の戸籍・住民登録窓口に提出します。その際、届出人の印鑑と本人確認できる証明書類(免許証、パスポートなど)が必要となります。

3. 相続期限③:借金(相続債務・相続負債)がある場合(3か月以内)

借金(相続債務・相続負債)がある場合、相続をするとあなたが借金(相続債務・相続負債)の返済義務を負います。しかし、相続放棄をすれば、被相続人の借金(相続債務・相続負債)を相続しなくてすみますし、また、限定承認をすれば被相続人のプラスの相続財産の範囲内で被相続人の借金(相続債務・相続負債)を返済すれば良いことになります。

相続放棄・限定承認手続きは、原則として被相続人の死亡を知った時から3か月以内に行う必要があります。相続開始を知った時から期限はスタートしませんが、相続開始を知らなかったことを立証するのは難しいので、相続開始から3か月以内が期限だと考えて下さい。

なお、借金(相続債務・相続負債)に関しては、『借金(相続債務・相続負債)相続のチェックポイント3つ』の記事もご参考下さい。

4. 相続期限④:相続開始による準確定申告期限(4か月以内)

 

4.-(1)  準確定申告とは

準確定申告は被相続人の所得税を清算する手続です。被相続人に確定申告の必要がなければ準確定申告手続きは必要ありません。

通常の確定申告は、1月から12月までに得た所得について行います。しかし、被相続人が年度の途中で死亡すると、1月1日から死亡した日まで所得があっても申告できません。そこで、相続人が被相続人の代わりに1月1日から死亡した日までの所得について申告・納税を行うのが準確定申告手続きです。

4.-(2)  準確定申告は4か月以内

準確定申告は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に、相続人が申告と納税をしなければなりません。通常の確定申告は毎年2月16日から3月15日までに行う必要がありますが、これと異なり準確定申告の期限は相続開始を知った日の翌日から4か月という期限なので注意が必要です。

4.-(3)  準確定申告の手続き

準確定申告の納税者は被相続人ですが、準確定申告及び納税手続きは相続人が行います。相続人が複数いる場合は、相続人の連書により準確定申告をしなければなりません。確定申告書付表という書式に、相続人等に関する事項を記載する必要があります。

なお、各相続人が別々に提出する方法も可能ですが、この場合、申告書を提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知しなければならないことになっています。つまり、一部の相続人が行った準確定申告の内容を他の相続人に知らせれば、個別に準確定申告を行うことができます。

4.-(4)  準確定申告における所得控除

通常の確定進行では所得控除の適用基準は年末の現況で判断します。しかし、準確定申告の場合、被相続人は年度途中で志望しているので、相続開始日までに支払ったもの、あるいは相続開始日の現況で判断することになります。

主だった所得控除の対象は、被相続人が死亡するまでに支払った医療費、社会保険料、生命保険料、損害保険料です。また、配偶者控除、扶養控除は、相続開始日の現況で判断します。

4.-(5)  準確定申告の申告先と必要書類

準確定申告の申告先は、被相続人の相続開始時の住所地を管轄する税務署です。あくまで被相続人が基準となるので、被相続人と離れて暮らしているご家族は注意が必要です。

申告の必要書類は、①確定申告書、②確定申告付表、③給与や年金の源泉徴収票、④医療費控除のための領収書、⑤生命保険や損害保険の控除証明書です。①②は税務署にあるので、持参するのは③~⑤の書類になります。

5. 相続期限⑤:相続税の申告期限(10か月以内)

相続の期限というと相続税の申告を最初に思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、相続税は全ての人が納めるわけではありません。相続税を納めなければならないの、相続全体の5%程度と言われています。

相続税の申告をするか否かは相続人が計算を行って判断します。相続税の申告の要否や具体的な税額は相続人が算出することになります(実際には税理士に申告を依頼することになります)。

目安としては、相続財産の金額が相続税の基礎控除額(3000万円+法定相続人の数×600万円)を超える場合はご相談下さい。

相続税が課税される可能性のある場合、相続税額軽減の特例の活用を検討します。特例を活用した場合、相続税が課税されなくても特例を活用した旨の申告が必要になることもあります。

相続財産調査で相続財産を調べよう

6. 相続期限⑥:遺言書で不公平な取扱いを受けた(1年以内)

6.-(1)  遺言書の効力

相続人は、民法上、一定の割合で相続財産を受け継ぐことができる旨が規定されています。これを法定相続分といいます。しかし、法定相続分は必ず取得できるのではなく、法定相続分の規定は遺言書が無い場合に適用される規定です。

被相続人が遺言書を残している場合、被相続人が遺言書で法定相続分と異なる相続財産の配分を定めることが可能です。

6.-(2)  遺留分減殺請求とは

あなたが遺言書によって相続財産を減らされた場合、遺留分減殺請求によって対応することができます。

民法は、法定相続分から著しく相続分を減らされた相続人の期待を保護するため、「遺留分」を設けています。遺留分は遺言書でも奪われない相続財産に対する最低限度の取り分を確保しています。但し、あなたが被相続人の兄弟姉妹として相続人である場合は遺留分制度の対象とならないのでご注意ください。遺留分が認められる法定相続人は、子ども、直系尊属、配偶者です。

6.-(3)  遺留分減殺請求の期限

遺留分減殺請求をすることで、一定の相続財産を確保することができます(民法1028条以下)。しかし、遺留分減殺請求は期限が定められています。遺留分減殺請求権は、「相続の開始」と「減殺すべき贈与又は遺贈があったこと」を知った時から1年以内に行使しなければ時効によって消滅してしまいます。知ったか知らなかったかの争いを避けるため原則として遺留分減殺請求の期限は相続開始から1年以内と考えて下さい。

遺留分に関しては、『遺留分減殺請求を確実に成功させるたった1つのポイント』の記事もご参考下さい。

a0002_006859_m

7. 相続税の軽減措置適用期限(3年以内)

7.-(1)  相続開始から3年の期限

相続税には相続税軽減のための特例が設けられています。相続税軽減の特例は相続開始から10か月以内の相続税申告期限までに適用を受けるのが原則です。しかし、相続が揉めた場合は10か月以内に遺産分割が終わらず、相続税申告期限に相続税軽減の特例を適用できない場合があります。

このような場合、遺産分割が相続開始から3年以内に確定した場合は軽減措置の適用を受けることができます。つまり、相続税の申告期限では遺産分割を法定相続分で行ったとして申告・納付を行い、相続開始から3年の期限内に実際の遺産分割が確定した場合は税額の還付を受けることができます。従って、相続開始から3年の期限が相続税軽減措置適用期限です。

相続税軽減措置としては以下のようなものがあります。

7.-(2)  配偶者の税額軽減

配偶者が相続した相続財産については、1億6000万円又は法定相続分までを相続したのであれば相続税の納付が免除されます。配偶者の税額軽減は、相続開始から10か月以内に遺産分割を完了して相続税申告期限までに相続税申告をすることを前提とします。

7.-(3)  小規模住宅地の特例

被相続人の宅地のうち240㎡までの部分については一定の条件を満たせば、通常の相続税評価額の20%として宅地を評価して良いとする特例です。つまり、小規模宅地の特例を使うことができれば約80%の減税になります。

8. 遺産分割の期限(無制限?)

8.-(1)遺産分割の期限はない

民法上は遺産分割の期限は定められていません。そこで、一見すると遺産分割に期限はなく、相続開始後にいつ行っても良いように思われます。しかし、遺産分割を先延ばしにすると様々な弊害が生じます。実際には遺産分割の期限は相続開始から10か月、遅くとも1年以内には行うことをお勧めします。なお、遺産分割に関しては、『遺産分割協議について知っておくべき29項目』もご参考下さい。

8.-(2)  相続税の延滞税

相続税の申告期限は、相続開始から10か月以内です。しかし、遺産分割協議が整わず、相続税を支払う必要があるか判断できないまま相続税の申告期限が経過したとします。

ようやく遺産分割が完了した結果、相続税の申告・納税が必要であると判明した場合、相続税の延滞税(税率は最初の2か月が年4.3%、その後は年14.6%です。)が生じることになるので相続人にとって不利益です。

8.-(3)  遺留分減殺請求ができなくなる

遺産分割は遺言書がない場合に行うものですが、そもそも相続財産の分配に注意を払っておらず遺言書があるのに対応をしないとします。実は、遺言書であなたが不利益に取り扱われているものの、本当は遺留分減殺請求ができるかもしれません。そのため遺留分減殺請求の期限である1年以内には相続財産の分配を終わらせるという意識を持っておいた方が良いでしょう。

9. 相続登記の期限(無制限)

また、相続登記も法律上の期限はありません。しかし、登記は自分の権利を対外的に主張するために必要なものです。相続によって取得した不動産は自分のものだと第三者に主張するには、相続の登記が必要です。トラブルを避けるために遺産分割協議が整ったあと、すぐに相続登記することをお勧めします。

また、相続登記が必要となるのは相続財産に不動産が含まれる場合です。相続財産に不動産が含まれる場合の問題点は、『相続財産に不動産がある場合の4つの方法』の記事をご参考下さい。

まとめ

この記事では相続の期限について解説しました。相続が開始すると様々な手続きをしなければなりません。しかし、相続手続きには期限が設けられていることがあります。

あなたの相続手続きにおいて、期限内に行うため急ぐべき手続きを確認するために参考にしていただければと存じます。

web_b_160624

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
無料相談はアイシア法律事務所